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胚細胞腫瘍の予後 その4 最近の論文2

JUGEMテーマ:闘病記

 

European urology 2017; 71: 290-298

デンマークからの報告です。

 

タイトル:Prognostic Factors and Treatment Results After Bleomycin, Etoposide, and Cisplatin in Germ Cell Cancer: A Population-based Study (BEP療法を受けた胚細胞腫瘍患者の予後因子と治療結果:集団ベース研究)

筆頭著者:Maria G. Kier

 

胚細胞腫瘍の治療といえばBEPだけど、IGCCCGを作成するときに解析した患者さんの中には最初にBEPが入っていない人も多いのでは?という疑問からスタートした解析のようです。

1984年から2007年にかけての症例を解析したところ、5345人の胚細胞腫瘍の患者さんのうち、最初の治療としてBEPが入った患者さんは1889人でした。

この1889人を対象に解析して、5年生存率などを解析しています。

うちセミノーマが420人、非セミノーマが1469人です。

 

Good prognosis(予後良好群)

セミノーマ(409例;5年生存率 93%)

非セミノーマ(941例;5年生存率 95%)

 

Intermediate prognosis(予後中間群)

セミノーマ(11例?;5年生存率 ?%)

非セミノーマ(305例;5年生存率 85%)

 

Poor prognosis(予後不良群)

非セミノーマ(223例;5年生存率 64%)

 

やっぱりBEPがしっかりはいっている症例だけをセレクトしていることだけあって、成績が良いですね。

IGCCCには含まれていない予後に関わる因子として、セミノーマでは年齢が高いことと、LDHが正常上限の1.5倍以上ということが挙げられていました。また非セミノーマでは年齢が高いことと肺転移が予後の悪さにつながっていました。

author:gctdoctor, category:用語解説, 18:00
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胚細胞腫瘍の予後 その3 最近の論文1

学会報告も大事なのですが、それを論文にして世界中から評価してもらうことが医療業界では大切なことです。

学会報告と論文とでは雲泥の差があります。自分も論文にしていない症例報告などが多数あって恥ずかしいのですが。

 

予後不良群の検討についてもすでにいくつか論文があります。こうした論文を元に新たな分類ができてくると思われます。

 

まずは学会報告もしていたAdraさんの論文です。

Annals of Oncology 2016; 27: 875-879 

 

タイトル:Prognostic factors in patients with poor-risk germ-cell tumors: a retrospective analysis of the Indiana University experience from 1990 to 2014

(予後不良群の胚細胞腫瘍の予後予測因子:インディアナ大学における1990年から2014年の症例を振り返ってみて)
筆頭著者:N. Adra

 

対象:1990年〜2014年にかけてインディアナ大学でシスプラチンとエトポシドを含む治療が行われた胚細胞腫瘍の症例。

結果:273例が予後不良群に相当。5年生存率は73%。予後と関連する因子は、脳転移の存在、原発巣が縦隔、発症時の年齢(高齢ほど悪い)。

結論:IGCCCGの分類は1975年から1990年にかけての症例集積の結果であり、予後不良群であっても最近の症例では予後の改善がみられている。

 

学会の時とは選択された患者さんの年代も違います。また学会の時は”転移を伴う”患者さんだったのに対して、”予後不良群”に限定しています。

予後不良群の5年生存率はやはり良くなっています。

またIGCCCではリスク因子になっていない、発症時の年齢がリスクと解析されています。またIGCCCでは”肺以外の臓器転移”がリスクとなっていますが、この解析では”脳転移”のみがリスクとなっていました。

縦隔の予後の悪さは相変わらずでした。

 

 

JUGEMテーマ:闘病記

 

author:gctdoctor, category:用語解説, 11:27
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胚細胞腫瘍の予後 その2 最近の学会報告

JUGEMテーマ:闘病記

 

IGCCCが広く使われているとはいえ、もう20年もたった報告で、1975年の症例も含まれている訳です。

IGCCCの時代と比べれば、吐き気止めなど化学療法を補助するための治療は進歩しています。また IGCCCの解析対象となった症例には、現在であればシスプラチンが勧められるところでカルボプラチンを使用しているケースがあるようです。

いくら胚細胞腫瘍の治療に画期的な進歩がないとはいえ、今でも治療成績は変わらないのだろうか?、というのは誰しも思うところです。

 

という訳で、以下の3つの学会報告がありました。

 

2015年のASCO(アメリカ臨床腫瘍学会)、カナダのバンクーバーキャンサーセンターからの報告です。

Craig R. Nichols,, Claudio Jeldres,  Kollmannsberger Christian K. Kollmannsberger: Is the International Germ Cell Consensus Classification (IGCCC) sufficiently predictive in 2015? DOI: 10.1200/jco.2015.33.7_suppl.387 Journal of Clinical Oncology 33, no. 7_suppl (March 2015) 387-387.

中間群から予後不良群についてのこれまでの論文を集めて解析。

BEP 4サイクルもしくはそれと同等とされる治療が行われた(正確には行おうとした)患者さんが対象となります。

その結果、中間群の5年生存率は80〜90%、予後不良群の5年生存率は70〜75%となると推測しています。

この研究ではセミノーマと非セミノーマの区別や、どんな要因が予後を悪くするのか等の解析は行われていません。

 

2016年のGenitourinary cancers symposiumでは2つの同じような発表がありました。

一つ目はカナダからの報告です。

Ko JJ, Bernard BD, Tran B, et al: Conditional survival of patients with metastatic testicular germ cell tumors treated with first-line curative therapy. 2016 Genitourinary Cancers Symposium. Abstract 472. Presented January 8, 2016.

1990年から2012年にかけて治療を受けた転移を伴った精巣原発胚細胞腫瘍942例。うち、19%が予後中間群、16%が予後不良群。

この解析では5年生存率は予後中間群で93%, 予後不良群で64%でした。

*解析の主目標は条件付き2年生存率を求めたことでしたが、ややこしいので。 

 

もう一つはインディアナ大学からの報告です。

Adra N, Ku KP, Kaira M, et al: Survival outcomes of patients with metastatic germ cell tumor treated from 1998 to 2012: The Indiana University experience. 2016 Genitourinary Cancers Symposium. Abstract 491. Presented January 8, 2016.

1998年から2012年にかけての転移を伴った精巣原発胚細胞腫瘍1341例のうち、シスプラチンをベースとした初期治療をうけていた615例が対象です。615例のうち526例(86例)が非セミノーマでした。縦隔原発は48例でした。

縦隔原発を除いた予後不良群の5年生存率は78%でした。一方、縦隔原発の5年生存率は58%でした。

 

最後の報告のAdraさんも述べているように、再発例に対する治療の改善と、支持療法の改善が予後の改善につながっているのでしょう。支持療法とは吐気止めとか白血球をふやすG-CSFのことですが、個人的には吐気止めの改善はかなり大きいのではないかと思います。

「縦隔原発の非セミノーマの予後は相変わらず悪いんですよね…。」とAdraさん、コメントしてました。

 

何れにしても、IGCCCで予後不良群とされるケースの予後が改善してきていることがわかります。

 

author:gctdoctor, category:用語解説, 18:30
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胚細胞腫瘍の予後 その1 IGCCC

JUGEMテーマ:闘病記

縦隔原発に限らず、精巣腫瘍などの胚細胞腫瘍の予後の指標として、”IGCCC” というものが医療者の間では使われています。

 

IGCCCは、 International Germ Cell Consensus Classification の略です。無理に意訳すれば国際胚細胞腫瘍予後分類となるでしょうか。

この分類は1997年に発表され(J Clin Oncol 1997; 15: 594-603)、現在でも使用されています。

1975年から1990年にかけてシスプラチンもしくはカルボプラチンが含まれた化学療法を受けた患者が対象。

セミノーマ 660人、非セミノーマ 5202人が含まれています。

 

以下にその概要を記載しますが、あくまで予後の目安であって、個々の患者さんについての数字を述べている訳ではないことに注意が必要です。

 

Good prognosis(予後良好群)

セミノーマ(5年生存率 86%)

 *原発は問わない

 かつ肺以外の臓器転移無し

 かつAFP正常(HCG,LDHについては問わない)

非セミノーマ(5年生存率 92%)

 *性腺もしくは後腹膜原発

 かつマーカーが低値

  AFP < 1000 ng/ml

  HCG < 5000 U/ml

  LDH 正常上限の1.5倍未満

 かつ肺以外の臓器転移無し

 

Intermediate prognosis(予後中間群)

セミノーマ(5年生存率 72%)

 *原発は問わない

 かつ肺以外の臓器転移あり

 かつAFP正常(HCG,LDHについては問わない)

非セミノーマ(5年生存率 80%)

 *性腺もしくは後腹膜原発

 かつマーカーが中程度上昇

  AFP  1000〜10000 ng/ml

  HCG 5000〜50000 U/ml

  LDH 正常上限の1.5倍〜10倍

 かつ肺以外の臓器転移がない

 

Poor prognosis(予後不良群)

セミノーマは予後不良群なし

非セミノーマ(5年生存率 48%)

 *以下のうち1つでもあてはまる

  縦隔原発

  腫瘍マーカーが高値

   AFP 10000 ng/ml以上

   HCG 50000 U/ml以上

   LDH 正常上限の10倍以上)

  肺以外の臓器転移有

author:gctdoctor, category:用語解説, 18:08
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都内初の精巣腫瘍ピアサポートが終了しました

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本日、都内初開催となる精巣腫瘍ピアサポートが終了しました。

ピアサポートは、治療前や治療中の方が、経験者との対話を通じてサポートを受ける形がメインですが、今回はベテラン(?)揃いで同窓会みたいな雰囲気になっていました。

刺激になることことも多く、今後の診療や活動についても考えさせられる1日でした。

author:gctdoctor, category:-, 23:21
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